夏  嵐

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女子供なら二十分程の道、 人通りもあるけれど 民家の外れに木の繁った 公園があって、“良からぬ連中”が 煙草を吸っているのを 見たことがある春紀は、 車の通り難い路地を走った。 そして、案の定、 子供と女性の助けを呼ぶ声が! 「樹だ!!」 声の方に駆けていくと 茂みに三人の“あの連中”が、 小さな身体で懸命に寛子を庇う樹を 力の限りに蹴飛ばしていた。 「おい、これで頭を叩いちまおう」 一人が太い枝を振りかざした間一髪で 春紀がその腕を取った。 「なんだよ?オジサンの  出る幕はねーよ」 息巻いているが 力のある若者達でもないらしい。 取った腕を軸に春紀が 力を加えただけで簡単に転んだ。
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