春を待つ日々

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普段大人しい志保だけに 春紀は無論、大工達も呆気にとられ、 志保は慌てて、恥ずかしそうに 事務所へ駆けて行ってしまった。 「なるほどなあ…  これからは“女の時代”だ。  女の喜ぶ家でなきゃなあ…」 春紀の細工を手に 大工達も意見を出し合う。 すると… 「葛城さん、一つくらい  手渡して粋な言葉くらい  言っておあげなさいよ」 棟梁に小突かれて春紀も 自分の顔が火照っているから なお、恥ずかしかった。 言われたわけではないけれど、 皆が帰ったあとで 「少し…いいかい?」 春紀は七割方仕上がっている 一番値の張る建物に志保を呼んだ。
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