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では、最後にこのシーンを見ていただこう。
とある病院にて。
女性が大量の汗を流しながら、大きな叫び声を上げている。
この女性は妊婦で、今にも赤ちゃんが生まれようとしていたのだ。
「さあ、あともう少しですよメアリーさん! 頑張って!」
赤ちゃんの頭が見えてきたため、助産師はメアリーという女性にそう声を掛ける。
「あ゛ああ゛ああ゛!!」
襲い来る痛みに彼女は必死に耐える。
そして、
「ぷはー! やっと出て来られたわ!」
ようやく生まれてきたのだ。
「おめでとうございます! 赤ちゃんさん! 元気なメアリーさんですよ!」
メアリーが。
身長160センチ、体重48キロ、二十四歳の元気な女の子であった。生まれながらにして病衣を身に纏っていた。
赤ちゃんは「おぎゃあ」と返事をして立ち上がり、助産師からメアリーを受け取る。
赤ちゃんと夫は、メアリーの誕生を喜ぶ。
「よく頑張ったな」と夫は赤ちゃんを褒め、赤ちゃんは「おぎゃあ」と言ってドヤ顔をする。
おわかりいただけただろうか。
この病室で起きた可笑しな現象を。
メアリーが赤ちゃんを産んだはずだったのが、いつの間にか赤ちゃんがメアリーを産んだことになっていたのである。
しかも、赤ちゃんは生後間もないのに立ち上がって、自分より体重の重いメアリーを抱えたのだ。
これも、雨の日に起きるバグなのである。
親と子の立場が逆転する。そんなことが起きてしまうのだ。
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