1.もう一人の私

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「生きているのよ」  私ははっとして、純の顔を見つめる。 「生きてるって?」  純はまばたきもせずに言い放った。 「お母さんは、生きているの」 「そんな……、だって、ちゃんとお葬式もしたじゃない……。まさか別人の?」 「人間としての肉体は失っているけれど、まだ残っているのよ。魂だけの形でね」  離れた場所でだんまりを決め込んでいた忍がふいに吹き出す。私が真顔でそちらに目をやると、彼は肩を大げさにすくめて言った。 「水を差すようだが、スピリチュアルな話題にはどうもついていけそうにない」  私は違う。大抵の女の子がそうであるように、占いや不思議な物語にはそこそこ興味があるし、今でも純の語り口には惹かれていた。課金ボタンがあったら、迷うことなく押していただろう。私は冷静さを保つよう自分の胸に言い聞かせて、改めて純に向き直った。 「どういうことなのか、ちゃんと順を追って話してくれる?」  占い師・純は、妖艶な笑みを浮かべて鷹揚に応じた。 「そうね、どこから話しましょうか」
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