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「生きているのよ」
私ははっとして、純の顔を見つめる。
「生きてるって?」
純はまばたきもせずに言い放った。
「お母さんは、生きているの」
「そんな……、だって、ちゃんとお葬式もしたじゃない……。まさか別人の?」
「人間としての肉体は失っているけれど、まだ残っているのよ。魂だけの形でね」
離れた場所でだんまりを決め込んでいた忍がふいに吹き出す。私が真顔でそちらに目をやると、彼は肩を大げさにすくめて言った。
「水を差すようだが、スピリチュアルな話題にはどうもついていけそうにない」
私は違う。大抵の女の子がそうであるように、占いや不思議な物語にはそこそこ興味があるし、今でも純の語り口には惹かれていた。課金ボタンがあったら、迷うことなく押していただろう。私は冷静さを保つよう自分の胸に言い聞かせて、改めて純に向き直った。
「どういうことなのか、ちゃんと順を追って話してくれる?」
占い師・純は、妖艶な笑みを浮かべて鷹揚に応じた。
「そうね、どこから話しましょうか」
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