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Ⅱ
面白いことに、絢人は25歳だが見た目は35歳くらいに老けて見える。
更に、絢人は纏っている雰囲気や言動が本物の35歳のように貫禄がある。誰が見ても25歳には見えないだろう。
佐野は若く見えるほうなので、20歳差の絢人と同い年くらいに見えるほどだ。
「ねえねえ!じゃあ、あだ名つけてもいい~?」
6歳くらいの男の子が言うと、絢人は「いいよ」と頷いた。
「んーとね、それじゃ、『お父さん』で!」
「…おっ、お父さん?」
さすがにぽかんとする絢人に、子供達は「いいね!」「合ってるぅ」と上機嫌だ。佐野が苦笑する。
「いいですか、絢人さん。あ、私は今まで通りに絢人さんと呼ばせてもらいますので…」
「…あ、良いですよ。年上っぽく見えるからお父さん…か。特別感ありますし、なんかちょっと気に入ったような気がします」
「ふふ。本物のお父さんみたいに、頑張ってくださいね」
佐野さんもお父さんって呼んでよ…と、多数のブーイングが飛ぶ。佐野はどうやらあだ名がないらしい。尚更特別感が出てくる。絢人は笑いながら、頭を下げた。
「じゃあ、改めてこれから宜しく!」
✱ ✱ ✱
その様子を部屋の扉の隙間から覗いていた少女は、胸が高鳴るのを感じた。
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