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あれから数日が経ち、みんなは2個目のバームクーヘンを召し上がることにした。相変わらず美味しい。絢人は目を細めた。 口一杯に頬張っていると、あっという間に完食してしまった。しょんぼりする絢人の前に、バームクーヘンの欠片が差し出される。持ち主は、羽香だ。 「あげるよ。あーん」 「あ、あーん…?」 羽香に差し出されたバームクーヘンを口にいれる絢人。凛那は感動して悶え、またもや男の子2人に怪訝な顔をされた。 「美味しいよ。ありがとう」 「どういたしましてっ」 2人の間に壁などは一切なく、孤児院の中でもダントツに仲良くなっていた。最初は緊張や遠慮をしていた羽香も、恋は叶わないけれど少しくらい好きにしたっていいと思い直した。自分が結婚できる年齢になったら、もっとぐいぐいアピールしようかな。羽香がそう思っていた矢先のことだった。 羽香を養子に迎えようと希望する、里親が見つかったのは。
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