そして今日もまた。

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新たな土地へ…そしてまた新たな土地へ向かう。 いったい…いつ終わるんだろうな、こんな生活。 「……。」 どこに行っても、今降っているこの雨も降り止まない。 この雨は、本当に嫌いだった。 体温を奪われ、食糧もすぐに腐る。 銃もすぐに錆びてしまう。 「……終わらせないと。」 それだけが俺の生きる目的。 それだけ…なんだよな……。 「……。」 新しい土地についた。 ここは、かつて岡山と呼ばれた土地。 日本の首都だ。 「…ここも、か。」 やはり、既にこの土地も人の気配はない。 建物が荒廃し、既にどこもかしこも植物まみれだ。 蔦をかき分け、屋内へ入る。 ここは岡山駅。 かつての日本で一番といわれる、人の利用が多かった駅だ。 バスやタクシーという、かつての運送車の発着場だろうか。 そういった場所には、車と呼ばれていたものが、恐らく『あの日』のまま残っていた。 この世界でも車はあるが、こういう形のものではなく、どこへでも行けるキャタピラ型の車がほとんどだ。 そして、その車の近くには、カバンや…服だろうか。 いや、これ以上の詮索はよそう…。 俺は早々に立ち去ろうとしていた。 その時だ。 ーキィィィィイイイイイイイイイイ!!!!!ー 突然のブレーキ音。 車なんぞの比ではない。 もっと大きな乗り物だろう。 上の方から聞こえた。 俺はその方向へ急いで向かった。 何か、とても大きなものが動いていた。 そしてここ周辺のどこかに止まったのだ。 音の方向は、駅のホーム方だと直感した。 恐らく、ブレーキ音の正体は『列車』だ。 「……。」 ホームにつき、俺は唖然とした。 これは…俺の知っている列車ではない。 そこには、ひときわ大きな列車があった。 こんな形のものは知らない…。 あとで文献にて知ったことだが、これは『新幹線』という乗り物だという。 そして、人の気配はなかった。 これは自動で動くものなのか? 敵が居るかも知れない。 だが、この列車を手に入れることができればかなり大きなアドバンテージだ。 ー間もなく、列車が発車致します。駆け込み乗車はお控えくださいー ー♪~♪~ー これは、もうすぐ発車するというのか? それに、この音楽…聴いたことがある。 昔…俺のじーさんが好きだった、『あにめ』だとか言う『動く絵』があったそうだ。 それの歌だったような気がする。 (たしか…) …鉄道…。 思いっだせん。 いや、そんなことより 「乗る…しかないか。」 列車に飛び乗ることにした。 このままどこに行くかは分からないし、果たして線路が続きているのかもわからんが…。 「行けるところまで行ってみよう…。」 この世界にも列車はあるが、原子力による列車、これをこの世界では『原子力機関』と呼び、列車のことは原子力機関者と呼ぶ。 そしてその動力源となる原子力による発電機は、列車の後方に取り付けられているはずだ。 だが、この列車にはなかった。 先頭にあるのかと思い、先頭車両へ向かった。 しかし…そんなものはなかった。 その代わりに…。 「……ふむ。お主は……藤田 光一(ふじた こういち)、じゃな?」 小さな女の子が、運転席らしき場所へ座っていた。
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