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「お前…なぜ俺の名を知っている。」
俺はその運転席に座っている女の子に銃を向ける。
赤髪の女の子は、見た感じかなり幼い容姿をしている。
服装も幼い子が着ていそうな、青いワンピースだ。
だいたい10歳前後だろうか…。
しかし、銃を向けられているにもかかわらず、物怖じ一つ見せない。
それどころか…。
「なんじゃお主、そんなものを向けおって。そんなもん、創造主たるわたしの前ではきかんぞ?」
創造主…?まさか…な。
こんなガキが、この世界を作り出しただと?
「なら、撃ってもいいのか…?」
「おぉ、撃て撃て。どうせ引き金は引けん。そうゆう仕組みに今書き換えた、この世界を」
なんだ…このガキ。
言ってることが分からない。
…引けないというなら…。
天井へ向け弾丸を撃とうとする。
しかし…引き金は少しだけ引けるが、弾丸が発射するまでは引けない…。
硬すぎるんだ…。
「くそっ……。」
なぜ引けないんだ!
今までは撃てていたはずだ。
「言ったじゃろ。無駄じゃ。お主はもうゲームオーバーじゃ」
……ゲームオーバー?
「…どういう事、だ?」
「そのままの意味じゃ。お主にこの世界は救えん」
「おい、救えないって…どういうことだ!?」
頭が真っ白になる。
意味が分からない。
「時間切れ…といったことかのぅ。もう残された時間はない。わたしはたくさんの時間を与えたが、お主はこの世界を終わらせることはできなかった。だから、もうお主はゲームオーバーなんじゃ」
ニコニコとそういう女の子。
なんだ…なんなんだいったい…。
「惜しかったのぅ…。この世界の確信…とまではいかないが、お主は、この世界の仕組みについては、何となく理解しておったじゃろ?」
「仕組み…。」
あの現象のことか…。
あの空間が破れたようになった現象か…。
さしずめそれが意味することは
「やっぱり…この世界は偽物なのか…?」
とても現実的な話ではないが、いわゆるあれはプログラムのバグ的な現象なのだろうと思った。
そう考えれば、何となく理解はできる。
「ふむ、そうじゃ。そこまでの理解はあっぱれじゃ。今までのどの『藤田光一より』健闘した方じゃ。…しかし、残念じゃったが、もう終わりじゃ…」
「…どの『藤田光一』より…?」
どの『俺』よりって…なんだそれ…。
他にも俺がいるってことか?
……まさか!
「…もしかしてこの世界は!?何度も何度も繰り返してー」
ーキィィィィイイイイイイイイイイ!!!!ー
俺の言葉を遮るように列車は急ブレーキをかける。
それは少女が操作していた。
衝撃で、俺の体が前に吹っ飛ばされる。
全てがスローモーションに見えた。
その瞬間、少女は…。
ーーー『次■もっと■■く■■ん■■ぞ…』---
俺の中で世界が暗転した。
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