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「……くそっ」
追手だ。
今俺は、やつらに追われている。
ここは、かつて日本の池袋と呼ばれていたところだそうだ。
「待てこらぁぁあああ!」
何か喋っているが俺には分からんし、そんな余裕は毛頭ない。
さっさと切る抜けないと、やつらは増援し始める。
俺は銃を手に構え、次の角を曲がったところで狙撃する。
…よし、1匹に命中し消滅した。
ちなみに俺の銃は『S&W M686』の回転式リボルバー銃だ。
携行性と耐久性に優れており、威力の高い弾丸を安定して撃てる使いやすい銃だ。
(…敵は残り2人…か。)
銃は持っているものの、弾丸がとにかく貴重だ。
なんせ作れる物資がない。
だから弾丸は今この世界上にあるもののみだ。
無駄撃ちは厳禁だ。
次にいつ見つかるかも分からない。
慎重に判断し、的確に使用しなくてはならない。
「はぁ、はぁ…!」
やつらとの距離をある程度確保できた。
よし、今だ!
ーーバンッ!バンッ!ーー
「う…う…ぁ…ぁああああ…!!」
声にならない悲鳴だろうか。
何か叫びながら血を流し死んでいく。
あれは…あいつらは、まっとうな『人間』だ。
自然を愛し、世界を愛した存在…いわば地球の『守り人』とでもいうべきか…。
地球は、人類以外を完全に消滅させようとしている。
人間は、地球という一つの肉体の中の…細胞、白血球みたいな、何かそういったものかと思った。
「…ようは、俺たち魔物はバイ菌ってか…」
実際、そうなんだろうな。
俺は息を整えながら、建物の中に入り身を隠す。
もしやつらが増援を呼んでいたら、追手がまた来てしまう。
それは勘弁だ。
「……くそ、ここも既に人間に仲間を始末されちまってるな。」
もう世界に残された仲間も数少ない。
地球はもう、人間に支配されつつあるのかもしれない…。
(俺たちはもう……全滅するのを待つしかないのか……?)
「……。」
ここにはもう…俺たちの知っているものは何にも無い。
既に狩りつくされていた。
ここを出よう、そう思ったとき。
「……また、か。」
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