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その日は梅雨時を忘れさせる乾いた晴天の日であった。都市に埋もれるようにあった小さな公園も日常を受け入れるかの如く一日を出迎えた。だが、その公園には日常とはかけはなれた光景が存在していた。公園の一角にある錆び付いたベンチに一人の男が横たわっていた。身体は、天気が晴れだと言うのに凍りつくように冷たくなっていた。そのそばで、慰めるかの様に蝉の亡骸とビール缶が転がっていた。男が目を開けた時に広がった景色は、何色だったろう。
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