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スマホ割れば良かった
夫のスマホを見た。
不倫の証拠をしかと見つけてしまった。
夫に問いただした後は、夫は自白した。
不倫相手に慰謝料をつきつけたのち、何故か相手が弁護士を立ててきた。
私は弁護士費用がかかるのも嫌だし、出来るなら大事にしたくなかった。
不倫相手はお金もあまりないと情に訴えてきたから、弁護士を雇わず示談で済まそうとしたのが悪かった。
相手弁護士から被害者の私に鼻で笑い飛ばしながら、「これでも足りないの?」と言い放った。
ただただ悲しかった。
本人から謝罪をしっかり欲しかっただけなのに。謝罪は出来ない。慰謝料も少ない。言い訳ばかり。
夫は素直に白状したのに、相手はシラを切ろうと必死だった。
私も散々、夫に怒りをぶつけた。
でも、晴れることのないこの怒りを不倫相手にぶつけても解消されるどころか、憎しみが増すばかり。
妊娠中だったせいもあるのか、ストレスで生え際が禿げてきた。
その後、私は行方をくらませた。
たった1日でしたが。
自殺未遂だったと思う。
ひょうたん底のダムの橋の前で、パート終わったままの姿で雨に打たれているところを警察と、地元にいるはずの大親友が保護してくれた。
私はそのまま、実家に戻ることになった。
覆面パトカーに乗りながら、夫が私の両親にどんなことをされたのかを聞いた時、ざまぁみろと思った。
それと同時に、罪悪感が増した。
私が連絡何もしなかったから、親友や両親まで迷惑かけてしまった。
死に損ないめ。
脳裏にそんな言葉がこびりついてやまない。
実家に戻ってから、心療内科に通うことになった。
解離性健忘症(かいりせいけんぼうしょう)
行方をくらませる前、私は子供を保育園に送らず、公園においてきてしまったのだった。
それを覚えていない。
しかも、気が付いた時には、ひょうたん底のダム前にいたのだ。
無意識に自殺願望の言葉も言っていた。
ストレスが一気にかかりすぎると、ショックによる一部分的に記憶を無くしてしまう症状らしかった。
普段は自殺とか考えることはない。
それも全て、解離性健忘症というものによって、私は自殺したい気持ちを消しているみたいだった。
「死」は、両親への冒涜だと考え始めたのは、子供を産んで人の死を間近に感じたから。
私は、自身を縛りつけすぎたのかもしれない。
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