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心療内科の先生は
「好きなことをしましょう。旦那さんのこともお相手のことも全て忘れて、生きる喜びを楽しみをみつけませんか」
その言葉にホッとしたのを覚えている。
両親や友人たちは私の味方をしてくれるけれど、それはあくまでも「私の味方」だから。
赤の他人からしたら、私はどうした方が良かった、あなたはこうすべきだった。と、言われるのではないかと怯えていたんだと思う。
心療内科の先生がそう言うわけないのに。
ただ、「貴女の好きなことをして」と言われて、子供たちも夫の実家にいて、自分だけ、昔いた自分の居場所にいることが不思議でしょうがなかった。
母と父は、私を好きにさせてくれた。
洋服を買ってくれ、フラワーアレンジしたいと言えばさせてくれ、親友と夜遊びもした。
まるで独身に戻ったかのように4ヶ月過ごした。
その時の感情は、まるで雲の上にいるようなフワフワとしていて、怒りも悲しみも喜びも何も湧かない。不思議な感覚だった。
親友と映画もスパにも出かけたというのに、生きた心地がしないのは、なぜなんだろう。
子供に会いたいと心配にならないのは何故なんだろう。
不思議で仕方なかった。
時折、押し寄せる夫との楽しかった日々を思い返すと、涙が溢れてきた。
CMで流れる呑気な曲も些細なことを笑っていたことを思い出して、何故こんなことになってしまったんだろうと、自分を責め続けた。
時が経つにつれて、少しずつ感情を取り戻した私は、夫に時折連絡を取るようになった。
離婚する気持ちでいたが、私には子供3人を幸せに育てる覚悟が足りなかった。
離婚するならもっと、資格を取って資金を貯めてからではないと。
再構築する決意を新たに固め、予約してあった七五三を撮影する前日に、自宅に戻った。
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