プロローグ

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プロローグ 五つの大陸の、一番北西の大陸でそれは起ころうとしていた。 その大陸は、大陸の西の端の部分から、東に延びた大地と南に延びた大地があり、まるで太い大きなブーメランのような形をしていた。 西と北の大地が繋がっている部分から主に東に沿って、大きな山脈がそびえ立っていて、そのセントシュタインという山脈からは大陸に三つある大河が流れていた。 山脈の西から流れている源流は大きく二つに分かれており、一つは南へ流れていき、やがて西の海へと還っていく。もう一つはブーメランのちょうど真ん中あたり―――そのあたりは広く、大陸で二番目の平地になっている―――の南東の海へと流れており、その大河の名はシュリクといった。山脈のちょうど中央あたりからは、そのまま大陸の一番東の海まで、ウェーンという大河が流れていた。 大陸の南は大陸一の平地で、乾いた大地がある。 そして、暑く夏が厳しい頃、大陸のシュリク河沿いの国でそれは起ころうとしていた。 その国のとある街でのことだ。その街の北西にはセントシュタイン山脈からなるサントモスという名の山があり、山から街のやや北を通ってシュリク河が流れていた。 その街の一端は、平坦な土地に家々が少し離れて立っていた。周りは木や草花が生えていて暖かく、のんびりするにはとても良さそうだ。人はたくさん住んではいるが、虫が花に止まっていたり、動物が走り去っていく姿が見られるような、のどかな場所である。 その場所にあまり似つかわしくない者たちが、隠れるように、森から大きな建物の中を窺っていた。 「あいつだな」 迷彩柄の服を上下に着た男達で、腰には隠すように何かを持っていた。 男達は、ある少女を監視するように観察していた。 その少女は長く美しい金髪を後ろで一つに結んでいて、その髪は少し巻毛がかっていた。 少女の瞳は深い青色で、金色の髪は白い肌によく合っていて、快活に動く少女はとても輝いていた。 少女は試合用の固そうな革製の鎧に身を包み、右手に槍のようなものを持ち、左手には頭がすっぽり収まる面を持っていた。その槍のようなものは、長いが太くもあり、先、先端が丸みを帯びて少し突起したしっかりした木製のものだった。 その少女の向かいには、少女と同じく、革製の鎧に身を包んだ、右手に槍のようなもの、左手には面を持った少年がいた。 その少年は、髪は短く刈っていたが、少女と同じく金髪で、白い肌に青い瞳をしていた。 「――ぬかるなよ」 ……男達三人組は、その少女に目を付けていた。 その少女の運命は、これから大きく変わろうとしていた。
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