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「渡さんはお金。私は愛情。どちらも過剰に求めてはいけないものね」
「あぁ、その通りだな」
なおは僕から離れると、元の位置に座り紅茶を飲み干した。頬杖を突きながら窓の外を眺めている。
「妹が生まれるのよ」
「憎いんじゃないの?」
「赤ちゃんに罪はないもの。私はね、育てられないくせに私を引き取ったアイツらが嫌いなの」
「まるで野良猫みたいね」と彼女は笑った。
「二か月後に生まれる妹に親を返してあげるのよ。素敵でしょう」
「素敵な復讐だね」
僕は額に手を当てて目を閉じた。視界がぼんやりとしてくるくるまわる。これは復讐。彼女は彼女を捨てた義理の親に。僕は僕自身に。
「殺すなら、殺されたって分かるようにしてね」
「それじゃあ、思いっきりやりましょう」
「あぁ。約束だ」
「えぇ、約束」
そういって僕たちは小指を絡ませた。
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