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今日もまた、なおが入れた紅茶を飲みながら外の景色を見つめる。僕が死に、なおが自殺するまでのエピソードは考えてある。
ありきたりな、嫉妬による殺害というやつだ。僕たち二人はよくなおの家で語らっていたが、ある日を境に僕の足が遠のいていく。他に女が出来たと考えたなおが僕を殺し、自分も殺す。
素人でも考えられるエピソード。しかし一番あり得る話でもある。連絡先を交換し、毎日カップルのような会話をする。そして殺される何日か前から連絡を途切れ途切れにし、なおに呼び出してもらったその日に死ぬ。
「やっぱり首を絞める?」
「いや、僕が抵抗したら君の力では無理だと思うよ。現実的じゃないね」
彼女は「残念」といいながら口を尖らせた。
「包丁で刺すならどうかな。いかにも感情的に殺しましたって感じが出て良いと思うんだけど」
「そうね。それはいいわね」
「ついでに急所も外した方がいい。何回も刺すとか工夫した方がいいかもね」
「それではあなたが痛いのでは?」
「気にすることじゃない。それよりも、僕が死んだあと君がきちんと自殺の流れが出来るか心配だよ」
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