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  混濁していく意識の中で、僕はなおを見つめていた。彼女は震える手で遺書のようなものを書き、自分の紅茶に毒を垂らした。    あのとき彼女が砂糖を入れたのは、僕に気づいてほしかったからなのかもしれない。いつもと違う紅茶なのだと彼女なりに僕の命をつなごうとしていた。   「悪いけど、君一人では逝かせないからね」   なんとか出した声に彼女は笑いかける。   「いじわるね」   彼女は一気に紅茶を飲み干して僕の手に自らの手を重ねる。彼女の唇はずっとずっと遠い。      震える文字の遺書はさながら僕らのエンドロールで、止まない雨はクラシックのように静かだった。     〈END〉
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