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「あんたがいてくれてホント助かったよ。レイニーなんか、あんたに見とれて声も出ないでいたんだよ」
「それは光栄だ」
世話焼きのお節介に、それ以上は不要と含んだ一言を返して会話を切り上げる。
必要以上の関わりは持たないよう、特に女性たちとは距離を置いていた。だが、ハーシェルの放つほかの男たちにはない雰囲気に、若い女たちからは色目を送られることも多い。
今までに経験のなかったそれらを、さらりと無視してやり過ごすのがハーシェルには面倒で、苦痛すら感じることだった。今になって、女に追いかけられてうんざりした顔をしていた、友人たちの心境がわかる。
息が整うと、動いている荷台から飛び降り、すぐさま愛馬に跨る。いつまでも荷台にいると、ほかの荷台から女が移って来たりもして、また面倒だからだ。
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