144人が本棚に入れています
本棚に追加
レジエントまではもうすぐで、ハーシェルはいささかのんびりとした気分で旅を満喫していた。
王宮では、同じ年頃の貴族とは仲良くしていた。中でも特に気が合ったのは、セルシア騎士団に志願した四人だった。
セルシア院の騎士団は家柄ではなく、個人の能力で以て組織されている。努力次第で取り立てられることもあることから、腕の立つ騎士が揃っていた。世間的には世界で最強の騎士団との評価もされている。
彼らは貴族で、家督を継ぐ立場の者もいたが、王統院の風紀を嫌ってセルシア騎士団へと志願したのだ。そうなると当然、ハーシェルもそこに出入りするようになる。そしてついでに鍛えられたのだ。
いつしか彼らは、まだ役職も与えられていないにもかかわらず、その強さで騎士団の中で有名になった。賊の取り締まりなどにおいてはその功績も著しく、市井においては彼らの容姿も相俟って、絶大なる人気を得るに至っている。
ハーシェルも、実はこっそり紛れて行っては賊の討伐に参加をし、帰って来ては当時の団長に胸ぐらを掴まれて叱られたものだ。そして今、友のうち二人は騎士団の長官を務め、一人は先日、異例の若さで団長に就任した。
最初のコメントを投稿しよう!