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天使との出会い
今までに経験したことがない感覚だ。
自分の意思とは関係なく、体が螺旋を描いて落ちていく。
時々、鉛が遠心力を持って頭の中を回ってるような気持ち悪さに、吐き気が込みあげてくる。
自分の体がどうなってしまったのか、確認しようにも目が開かない。
妙に意識はあるのに、体が動かない。金縛りのような状態が続いた。
しばらくすると、背中から柔らかい羽毛に包まれるような感触を感じた。
どこかに着地したらしいが、まだ目が開かない。
いつになれば開けられるようになるのか。
そう考えた瞬間、腹部に激痛が走った。
「いってえ!」
反射的に声がでた。今まで何かに主導権を奪われていた体も起き上がることができ、目も開くことができた。
起き上がった男は、体の感覚をひとつひとつ確かめるように動かした。今まで真っ暗だった視界は、一面、草木茂る草原をうつした。
草原の端には緩やかな流れの川がみえた。水は澄んでいて、清流と呼ぶにふさわしかった。
彼の意識は川の美しさから、素朴な疑問に移っていった。
ここはどこなのか?
「ここは天界ですよ」
疑問に答えるように彼の後ろから男の声がした。
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