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「自分の胸に聞いてみたらどうです?」
氷のように冷たい目を向けてくる黒スーツ。
「そ、そこまで酷いことしたかなぁ…」
光太には全く思い当たる節がなかった。
光太は、シングルマザーである母親を困らせるようなことはしたくないと、犯罪に手を染めるようなことはしなかった。
「えっと…もしかして…あれか?」
光太は必死に絞り出すように話した。
「と、友達の家で、友達の姉ちゃんの制服の匂いを嗅いだこと?」
生前、友達の家で、ゲームで負けた罰でやらされたものだ。もちろん、自分の意思ではなかったが。
時が止まったかのような静寂が訪れた。
「いや、さすがに下着はダメかと思って…」
「…くっふふ…ハッハハハ!」
思いもよらない暴露に、耐えきれなくなった黒スーツの男が腹を抱えて笑った。
「いやー笑わせてもらいましたよ」
「他に思い当たることが無くて…」
「笑わせてくれたので正直に言いますと、ここは天国ですよ」
「は?」
「悪いことを白状するかと思って、冗談言ったんですがねぇ…まさか制服のねぇ…フッフッ」
黒スーツは再び肩を震わせながら歩きだした。
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