第一章 幼なじみの距離

2/26
前へ
/26ページ
次へ
例年よりも少し遅めに咲いた桜の花びらが空で舞い始めた頃。 私は誰も友だちがいない、家から少し離れた高校に入学した。 幼なじみの颯真(そうま)と一緒に。 「おい、優羽(ゆう)!遅刻するぞ!」 私たちはこの春から電車で通うことになっている。 それなのに私は寝坊してしまった。 「ぎゃあ!!!!もっと早く起こしなさいよ!」 「起こしても起こしても起きなかったのはお前だろ!?」 家が隣で親同士がすごく仲が良かったことから、颯真とは小さいときからずっと一緒にいる。 片時も離れず2人一緒に行動するため、度々付き合ってると勘違いされた。 何回否定しても信じてくれなくて、すごいからかわれた。 それはそれは面倒でダルくて、嫌だった。 友だちと思って人にも信じてもらえなくて、それから颯真以外を信じることが出来なくなったんだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加