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【本編・ちょっと鈍感な彼女SIDE】朝、目が覚めたら知らない部屋のベッドのうえでした
時刻は現在十八時三分。うちの課は、決して残業をしない部署ではないが、みな、金曜だけは定時で帰る。妙齢の派遣さん三人は三人だけで飲みに行った。以外の先輩五名は元々仲がよく、毎週金曜は必ず飲みに行ってるくらいだ。
桐島ちゃんも終わったらたまにはおいでと中野さんに声をかけられたものの。
彼女は、五人の中では紅一点だが、毎度二次会で始まる(らしい)猥談についていけるのがすごい。
ちなみに既婚者。
なお、わたしは新歓のときにツブされた黒歴史があるので、以来あまりお誘いに乗らないようにしている……。
わたしの所属する経営企画課は通称なんでも屋。総務が別フロアにあって皆そこまで行くのがめんどくさいというのか遠くの親戚より近くの他人とでもいうべきか。かんけーない部署の来客応対やお茶出しに始まり電話対応、パソコンに疎い営業のおじさんのヘルプデスク的サポート。出張費の入力。フロア全体のコピー用紙補充に果てにはシュレッダーのごみ捨てなどなど。フロア全体の雑務がごみの日の朝みたいにどんどん経営企画課(なんでもや)に集積していく。
というかわたしに。
今日は、営業の道中さんに来週頭に提出の見積書の作成を依頼された。しかも金曜の定時十分前に。え、そんなの営業事務の仕事じゃんという不満の声が喉元から出かかったが彼の営業事務である日野さんは現在ハネムーン中。……羨ましい。
わたしなんて資料作成がなくってもどのみちひとり帰ってもひとり咳をしても一人。
さびしいさびしい週末を過ごすのみです。
よし。ペシミスティックモードオフ!
ぺちん、と両のほっぺを叩いてわたしは仕事に集中した。
あまりに集中しすぎて、三田(みた)課長が戻ってきた姿が黒い蜃気楼に見えちゃったくらいだ。
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