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【純情な課長SIDE】魅惑的な彼女との出会い・そして悲しい再会
見知らぬビルに入ると、SPIや面接に走り回った就職活動の頃を思い出す。あの頃は周りがまだきらきらして見えた。
世間がこんなに汚れているだなんて知らなかった。
先日受けた面接を思い返す。手応えは、あった。面接官は終始にこやかで、おれのことを褒めてくれさえした。なのに。
落ちた。
中途採用の難しいところだ。このまま行くとおれは人間不信になりそうだ。さて今日のところはどんなだろう。
手汗がやばい。
おれのいま勤めている会社は典型的な年功序列制、しかも学閥ありき。要するに、然るべき大学を出ていないと出世のコースにすら乗れない。
乗れない、おれの直属の上司は非常にいいひとだ。いいひと過ぎて見てるこっちがもどかしい。しかるべき対価を貰えぬのにアイデアや労力を搾り取られ不憫だ。
残念ながら、ああはなりたくなかった。
だから受からなければならない。
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