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か、きーんとおれのなかでホームランがヒット。
九回裏満塁ホームラン……。
野球部で女子マネがすげえ美人に見えるのと同じ理屈。
歯が見えるくらいにっこりと笑った彼女の笑みが脳髄に強烈に焼きついた。
面接室に響かぬよう意識した声量、だがその無邪気な響き……。
「それじゃあ、失礼しますっ」と。ぺこっと慌てた感じで頭を下げると、たたた、と走り去っていった……。
なにか、遠いまぼろしでも見た感じだった。青春時代……淡い恋。ひとを疑わぬ素直さ。
見返りを求めぬ純真を、おれは彼女のなかに見たのだった。
そそられる女としてのスタイルに少女の無垢な笑みそのギャップが、おれを虜にし。
『あの子に、もう一度、会いたい』
いい感じでおれは面接に集中し、結果、採用通知を受け取った。
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