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「何と書いてある?」
レギンは手紙を覗きもせずに、腕組みをして私の説明を待っていた。
「ああ。レイーラとガイル将軍……ガイル殿下の、戴冠式と結婚式の招待状だ」
にこっと笑って、レギンに言った。
ガイル将軍は、エスパルト国の王になる。
まあ、色々揉めたようだがガイル殿下だったら大丈夫だろう。騎士団の仲間達とは絶対な信頼関係がある。頭の固い臣下は、そろそろ引退する時期だ。だけど……。
「ふふ。楽しみだわ。レギン」
私がそう言うと、何かを察したのか複雑な顔をした。
それから半月後。レイーラとガイル殿下の結婚式が、行われる日がやってきた。天気が良くて気持ちの良い風が吹いている。
私、レギンとレオパレル国の護衛達は前日に、エスパルトとレオパレル国境の砦に宿泊していた。
「なかなか良い砦だな」
「レギン」
夜の帳が落ちていく。オレンジ色の夕焼け空が、だんだん黒いグラデーションになり夜空へと変わっていく。
砦の一番上の見張り台で空を眺めていた。
以前ここに来たときは、レオパレル国へと嫁ぐ前だった。
政略結婚。
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