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もう料理人の仕事は時間外だ。切ってきただけと言っても、サラダにはドレッシングや焼いたオニオンチップその他が散らしており、切ってきただけではない。
王なのにまめだ。
「言っておくが……」
「ん?」
ソーセージをひとかじりした時、言われた。
「お前にしか、こういうことはしないからな」
ソーセージの肉汁が口の中に溢れて話せない。でもレギンは、笑って私をみつめていた。
急いで口の中の物を咀嚼し、飲み込んだ。
「う、嬉しい」
胸がいっぱいでそれしか言えなかった。もっと何か、気の利いたことが言葉を言いたかったが言えなかった。
ちゅ……。
「レギン」
レギンは私の頬にキスをくれた。
「もっと食べろ。最近、顔色が悪い」
そう言い、肉の柔らかく煮たやつをフォークに刺して口元に持ってきた。
「はい……」
変わらずレギンは、私に美味しい物を食べさせてくれてる。
お皿のつまみが無くなるころ、レギンは腰に下げていた望遠鏡で遠くを見た。
「ライラ、来たぞ」
「やはりな」
レギンから望遠鏡を借りて見ると、遠くに隊列を成して進む怪しい者達が視界に入った。
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