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まさか嫁いだ自国の元王女が、ここにいるとは思わなかったのだろう。他に捕まえて縄で縛りあげた者達も驚いていた。
「私は貴族達、騎士達の名を全部記憶している。レオパレス国に嫁いでも、皆の動向を知っている」
「ひっ!」
ゲール伯爵の喉辺りに、切っ先を突きつけた。
「おおかた、結婚式でお祝いの中を混乱させるつもりだったのか、無駄足だったな」
レギンが伯爵の側に立って睨んだ。殺気を感じた。
「ひいい……! レオパレス国王まで!?」
男は腰を抜かした。……それはそうだ。レギンまでいたら腰も抜かすでしょう。
「明日、エスパルト国へ引き渡す。見張ってろ」
「はっ!」
エスパルト国騎士が、レギンの命令に返事をした。下手をするとエスパルト国を動かせるのではないかと思った。本人は興味がないけれど。
「さて……。砦に帰るか」
レギンが私の手を取った。馬に乗り、私を引っ張り上げた。レギンの前側に跨った。
「先に砦に行っている。お前達はそいつらを連れて帰ってこい」
「はいっ!」
そう言うとレギンは馬を操って駆け出した。
すっぽりとレギンの体に包まれて、全速力で駆けていく。
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