【後日談 2】春風が吹くとき

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 義母様(おかあさま)の飲み薬……ですよね? さすがだわ。  「俺達の分も、もらってきた」 「えっ?」  私達の分?  「お姉さま――!」  レイーラに呼ばれて振り向いた。 「わっ!」  良い香りのする花束。ブーケが飛んできた。レイーラはウインクして通り過ぎていった。  「ライラはもう俺と伴侶だぞ?」  レギンがイラついた顔で言った。あ、……そうか。  「花嫁さんのブーケを受け取ると、次の花嫁になるって他の国ではそうなのだけど……エスパルト国では、違う意味なの」  ふふっと、私は微笑んだ。  「違うのか? エスパルト国では……」  私はレギンに少し、しゃがんでと言った。レギンは言ったとおりに腰を下ろして、私の届く高さになった。  耳元で私は囁いた。  「『その人は赤ちゃんが出来ました』という、花嫁さんからのお知らせのブーケの意味……なの」  私はその時のレギンの驚いた顔は、一生忘れない。                    END                                     
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