■目が覚めたらほんとの世界の中だった■

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 これは夢? でも、目の前にルースの手によって置かれた鏡には悪役令嬢のミカが赤い縦ロールを揺らして変顔してる。鋭い黄色い目なんか吊り上がってるし。  それに足して、ルースの可愛いこと。  墨のような黒い髪は長くて女の子みたい。真っ白な肌は真珠の様につやつやしている。ほんのりもものように染まったほっぺも可愛い。 「でも、あなた悪役じゃないのルース」 「悪役になりたくてなるわけじゃないんですよ。ボクには物語が見えていますから」 「そういえば、未来が見えて絶望したって言ってたよね、ゲームで」 「……覚えてます?」 「うん」  鮮明に覚えてる。  呪われた悪役ルースは、悪役令嬢とともにヒロインを滅ぼそうとした。  魔法学園が舞台のこの乙女ゲーム『ROMANCEROSE』は、結構シリアスで。  主人公ローズは平民ながらも愛されていくのに……悪役の扱いったら。  ひたすら破滅! 破滅! 破滅ルート。幸せになるエンディングなんかまずない。  全部やったあたしならわかる。幸せになんかなれっこない。 「それも、美加が来てくれないから……あれだけゲーム越しに電波飛ばしたのに」
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