35人が本棚に入れています
本棚に追加
これは夢? でも、目の前にルースの手によって置かれた鏡には悪役令嬢のミカが赤い縦ロールを揺らして変顔してる。鋭い黄色い目なんか吊り上がってるし。
それに足して、ルースの可愛いこと。
墨のような黒い髪は長くて女の子みたい。真っ白な肌は真珠の様につやつやしている。ほんのりもものように染まったほっぺも可愛い。
「でも、あなた悪役じゃないのルース」
「悪役になりたくてなるわけじゃないんですよ。ボクには物語が見えていますから」
「そういえば、未来が見えて絶望したって言ってたよね、ゲームで」
「……覚えてます?」
「うん」
鮮明に覚えてる。
呪われた悪役ルースは、悪役令嬢とともにヒロインを滅ぼそうとした。
魔法学園が舞台のこの乙女ゲーム『ROMANCEROSE』は、結構シリアスで。
主人公ローズは平民ながらも愛されていくのに……悪役の扱いったら。
ひたすら破滅! 破滅! 破滅ルート。幸せになるエンディングなんかまずない。
全部やったあたしならわかる。幸せになんかなれっこない。
「それも、美加が来てくれないから……あれだけゲーム越しに電波飛ばしたのに」
最初のコメントを投稿しよう!