■目が覚めたらほんとの世界の中だった■

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「ご、ごめん……」 「魂だけは、入ってくれたみたいだけど。これで何週目の世界だろう」 「何週……?」 「ボクは幸せになるエンディングが来るまで、この世界を繰り返してるから」 「え」 「それが、呪われてるものの力。終わりなき命」 「…………」 (ゲームにはそんな説明、なかったよ……?)  すがるような、泣きそうな声だった。  ルースの身体は震えていて。  小さな体をあたしは包み込む。 「ボクは幸せに逝きたい」 「ルース……」 「幸せに……もうこんな苦しい世界は嫌だよ!」  血を吐くような叫びだった。ルースの目には涙が滲んでいた。  震える身体を抱きしめながら、あたしは誓った。  ゲームの中で一番好きだったルース。  悪役なのに寂しそうで、どこか影があって。 「大丈夫だよ、ルース」 「美加?」
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