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「きゃああ!?」
黒い歪みはあたしを飲み込もうとして、消えた。
それを消したのは……。
「ルース!?」
「今のは、悪魔のミカの力のまやかしだ……」
「え?」
「正ヒロインのイベントを使って、君を消そうとしたんだ」
「へ……こわっ」
なにそれ。
「生きていたんだ、あいつ……なんで。この世界から消えたと思ったのに」
「……ビックリした、怖かったよぉ、ルース」
「本当はセナナと会うはずだったんだけど……ひどい目にあったね。大丈夫だよ、ボクがいるからね? ミカ」
「うん……」
(でも、正ヒロインイベントはどうなったのかな……? 合わないままでいいの?)
そう、あたしが首を傾げた時。
庭のほうでガサゴソ聞こえて、そこに視線を動かすと。
「……嘘、なんでここに?」
「あの、すみません、ここはどこなの?」
……そこには、迷子の正ヒロインセナナが、涙目で立っていたのだった。
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