■登場! 正ヒロイン!■

1/5
前へ
/64ページ
次へ

■登場! 正ヒロイン!■

「もしかして、私は迷子なの?」 「……セナナ」 「? なんで私の名前を知っているの? ……なんだか眠たいわ。私、気づいたら眠っていたの」 (たぶんそれは悪魔の魔法で眠らされていたんだろうなぁ)  そんな気がするけど、その事実はさすがに言えなくて。  あたしは苦笑いをして、セナナを見つめた。  やっぱり正ヒロインだけあってかわいいルックスだな、と思う。あたしのきつめのルックスとは大違いだ。 「ねぇ、ここはどこなの?」 「あたしの家の庭よ」 「いったい貴女は誰なの?」 「……あたしは、ミカよ」 「ミカ」 「そして、後ろにいる男のがルース」 「ルース」 「……もう遅いから、森の外まで送っていくわ。いいわよね、ルース」 「まあ、いいよ」 「ありがとうございます! ミカさん、ルースさん!」  天真爛漫な笑顔を振りまくセナナ。  なんだか、セナナまで悪魔が化けてるような気持ちになる。怖い。さっきのは怖すぎた。  あたし達は左右にセナナの隣に立って森を目指した。  なんだか緊張でドキドキして、会話が弾まない。  はじまってしまったんだなあ。乙女ゲームの本筋が。  そんな時だった。 「ぐうう……」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加