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■登場! 正ヒロイン!■
「もしかして、私は迷子なの?」
「……セナナ」
「? なんで私の名前を知っているの? ……なんだか眠たいわ。私、気づいたら眠っていたの」
(たぶんそれは悪魔の魔法で眠らされていたんだろうなぁ)
そんな気がするけど、その事実はさすがに言えなくて。
あたしは苦笑いをして、セナナを見つめた。
やっぱり正ヒロインだけあってかわいいルックスだな、と思う。あたしのきつめのルックスとは大違いだ。
「ねぇ、ここはどこなの?」
「あたしの家の庭よ」
「いったい貴女は誰なの?」
「……あたしは、ミカよ」
「ミカ」
「そして、後ろにいる男のがルース」
「ルース」
「……もう遅いから、森の外まで送っていくわ。いいわよね、ルース」
「まあ、いいよ」
「ありがとうございます! ミカさん、ルースさん!」
天真爛漫な笑顔を振りまくセナナ。
なんだか、セナナまで悪魔が化けてるような気持ちになる。怖い。さっきのは怖すぎた。
あたし達は左右にセナナの隣に立って森を目指した。
なんだか緊張でドキドキして、会話が弾まない。
はじまってしまったんだなあ。乙女ゲームの本筋が。
そんな時だった。
「ぐうう……」
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