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「セナナ、いっぱい食べていいよ。あたし達はよく食べてるし」
「えっ、そんな……夢みたいです。お腹いっぱい食べること、普段はなかったから……」
(どんだけ貧乏なの?)
魔法学園には確か、能力の高さを飼われてはいるんだよね。セナナは。
だけど、庶民だから舐めれながら奮闘する。
そう言えば、学費免除でご飯が出ることに食いついてたっけ……。
バクバクと焼き魚を食べるセナナは、必死で。
(そんな、貧乏で苦労人の正ヒロインと戦うのか……嫌だなぁ)
思わずため息をつくあたし。嫌だなぁ。ああ。
「おいしいです! ミカさんっ」
「それはよかった」
「このお礼、いつかしますから!」
「いいよ、そんなの」
あたしは元気のない声で言った。
だけど、この約束が、そのあと大きな結果をもたらすなんてあたしは想像もつかなかったのだ。
「あああああ、おいしー!」
セナナが豪快に叫ぶ中、あたしは不安で胸がいっぱいで。
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