通行許可省

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通行許可省

「今日は死にに来たと?」 少しボロくなった建物に似つかわしく無い、綺麗に整った受付。 そこに1人の少年が来ていた。 受付に座る男は手元の書類を眺め、少年の方に向き直る。 「東田(とうだ)ユウキくん、君まだ15歳じゃないか」 「わかってるよ……」 「なのに、死ぬと?」 「ここで死ななきゃ後々面倒臭いんだろ!?」 受付の近くに掲げられた、『通行許可省』の看板。 この省庁は、悲惨な現実が生み出した産物だった。 とある日から急増した自殺者、その自殺者が見つからず捜索隊などが駆り出される現状。 予算の無駄、それが政府の下した結論だった。 それならと作られたこの通行許可省は、自殺者を減らすという目的ではなく自殺者を把握するというもの。 自殺をするなら、この場所で申請をして正式な手続きをしてから死んでください。 その手続きさえしてくれれば、残された者にお金が給付されます。 ただし申請がなければ違法となります。 政府はもう、止める気など無かった。
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