通行許可省

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受付の男は何度も書類を見るが、ユウキは腕を組んで不機嫌そうな顔を浮かべたまま男を見ている。 ユウキの目線が少し動いたかと思うと、そのまま口を開いた。 「蒼樹(あおき)さんってのか」 目線は名札へと向けられていた。 男は頷き 「俺は蒼樹レイジ。それがどうした?」 と言葉を続ける。 ユウキは首を横に振り、再びだんまりを決めた。 「あのね、別に咎めてる訳じゃないのよ。ただちょっと気になっちゃってさ」 「気になるって……別にたいした事ねぇよ」 「たいした事ないって……」 不意にユウキの顔が強張る。 何かを思い出すのが嫌なのか、それか思い出して不機嫌になってるのか。 レイジは言葉を詰まらせる。
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