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「でも朝起きても学校から帰っても、寝る直前だって母さんの顔を見る事すらねぇんだ!!俺の誕生日だってきっと忘れてるだろうよ」
レイジがふと書類に目をやると、生年月日の所に目が留まる。
6月6日、今日の日付。
「君、今日が誕生日なのか……」
「もう俺の為に働く事なんかしなくていい、最高のプレゼントを誕生日の俺が贈るんだ」
強がりで言っているのが理解できるほど、いつの間にかユウキは泣いていた。
大粒の涙をボロボロと流し、顔を真っ赤にしてただ泣いていた。
言葉にしないだけの、彼の感情。
「寂しかったんだな、ユウキくん」
「本当の家族じゃないから、夢見たって叶わないのは知ってんだ。家族幸せに暮らすって夢を……」
泣き崩れるユウキに、どうにかしてあげたいと考えるレイジ。
ただ今さっき知り合ったばかりの彼に、果たして何をしてあげれば正解なのかわからなかった。
不意にユウキの手首に、何かが巻かれてるのが気になる。
白い押し花がついた、ブレスレットの様なアクセサリーだ。
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