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無言でユウキの手を掴み、そのブレスレットを確認する。
「不思議なアクセサリーだな」
「母さん達と一緒に住む様になってから、つけるように言われたんだ。リンゴの花のブレスレットらしいけど」
「リンゴの、花」
その言葉を聞いて、思わず笑みが溢れる。
「君はちゃんと愛されてるじゃないか」
「えっ?」
間抜けなユウキの声が聞こえたと同時に、別の女性の声がユウキの背後から聞こえてきた。
慌てた声が、徐々に近付いてくる。
「母さん!?」
「ユウキ!!捜したのよ!!」
「どうしてここに……」
「嫌な胸騒ぎがしてここに来たの。まさか本当に来てるとは思わなかったけど……」
ユウキの母はホッと安堵した表情を浮かべているのを見て、本来なら喜ぶべきではない事態になっているのを見たレイジもつられて安堵の溜め息を溢した。
「どういう事だよ、俺なんかいなくなった方が……」
「良いわけないでしょ!!」
さっきとはうって変わって、今度は怒りの表情を見せる。
その見た事ない顔に、ユウキは呆気に取られた。
急にオドオドしだすユウキを見て、レイジは口を開いた。
「リンゴの花言葉って知ってるかい?」
「いやっ、聞いたことないけど」
「選択、優先……君は選ばれて家族になったんだよ」
口を開けて、驚きの表情を浮かべて固まるユウキ。
母親は、その通りだとゆっくり頷いた。
「夫が昔から大病を患い、子供を作る事が出来なかった私達は養子を貰う事にしたのです」
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