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12年前、孤児院に足を運んだユウキの母・マナミ。
その当時は病気を患いながらもまだ歩く事が出来た夫と共に、その場所に訪れていた。
「いろんな子がいますよ!良かったら1人1人紹介しますけど」
孤児院の院長が案内を申し出たが、マナミは隅の方に1人座る少年に目を奪われた。
周りに馴染めず、1人でいるのが好きそうな暗い印象。
だがマナミには、それは関係無かった。
「あの子がいい、あの子にしましょ!!」
ユウキとの出会いは、運命ともいえるものだった。
若い頃に夫を一目惚れした時と、全く同じ感覚がマナミに襲いかかる。
あの子じゃなきゃダメだ、そんな想いで引き取ったユウキだが現実は全て上手くいくわけがいかなかった。
夫の他界、別れは早くに訪れた。
そこからマナミ1人で、ユウキを育てなければいけなくなる。
仕事をいくつも掛け持ちし、少しでもユウキが幸せに暮らせるよう死に物狂いで頑張った。
しかしそれが愛情の欠落を促進させてるとは、全く気付けなかったのだ。
全てを聞き終え、全員が少しの間押し黙る。
その静寂を破ったのは、ユウキだった。
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