貴方を選んだ理由

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貴方を選んだ理由

今日もダメだった。 何がいけないのだろう。 街特有の騒がしさに身を任せて歩いていた。 少し市街地から外れた所だった。 僅かな光が見えた。 近づいて見ることにした。 看板が出ていた。 怪しげな店みたいだった。 深夜に開いている店なんてロクでもないと頭では分かっていた。 でも、何が扉の向こうにあるのかを知りたかった。 こんな気持ちになるのは久しぶりだった。 扉の取手に手をかけた。 すると、カランカランと昔ながらの喫茶店にあるようなベルが鳴った。 扉を閉めると店員がいた。 よくある典型的なセリフを言い、席に案内してくれた。 メニューを開いた。 そこには、一つしかメニューがなかった。 コーヒーだけだった。 店員に尋ねてもこれしかなかった。 仕方なくコーヒーを注文した。 コーヒーが来るまで店内をも回した。 こんな夜が深まった時間に細身の店員だけしかいなかった。 店員と変わらず細身の僕は不安になった。 強盗、酔っ払いなどがきたらどうするつもりだろう。 店員を眺めていると、コーヒーが完成したらしい。 優雅な動きでコーヒーを運んでくれた。 僕はコーヒーを一口飲んだ。 口の中に、甘みや苦味が広がった。
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