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雨は止まない
たんたんたん、と雨が降る。
その音が聞こえる度、僕はソファの後ろに隠れて震えているんだ。
たんたん。
たんたんたん。
リズミカルに響く雨音。
窓から見える四角い空は雲一つ無くて、
腹が立つくらいに青く澄んでいる。
恐る恐る窓から顔を覗かせれば、
瓦礫だらけの通りに点々と横たわる人影と、泣き叫ぶ人。
雨は止まない。
鋼鉄の雨は降り続く。
雨音が響く度に、誰かの命が消えてゆく。
でも、僕にはどうする事もできない。
ソファの後ろに隠れて震えているだけ。
今日の命は拾えたけれど
明日の命は分からない。
雨は止まない。
誰かの血を流して、悲しみと憎しみの水溜りを作り続ける。
いつか、雨が止んだ時
僕は世界に怒鳴りつけてやるんだ。
僕達の世界を返してくれって。
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