第1章4節 初日の帰り道

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 夏島総合高校の最寄り駅である夏島駅までは歩いて15分ほどで着く。途中から駅前まで商店街があるが、高校生が寄り道して帰りそうな店はコンビニやファストフード店くらいで、他の個人で経営してそうな店に放課後に寄ってから帰る事はなさそうだ。  夕方の帰宅ラッシュ時間に差し掛かり、人が増えてきて活気づいてるように見える商店街を歩く。なかなか悪くない。  ……だがさっきからずっと横から話しかけたいけど話しかけづらいみたいなオーラを出す強引でめんどくさい奴がいるのが不愉快だ。  商店街を5分くらい歩いた時、横断歩道を渡ろうとしたら直前で信号が赤になってしまった。流石に信号無視をするわけにはいかないし学校にバレでもしたら余計面倒な事になるに決まっている。早く帰りたいのに……。  しかも横のクソ野郎は今こそ話しかけるチャンスなのでは、と話しかけようとしているものの結局俺の機嫌を伺っている。  めんどくささしかないがこのオーラをずっと横でされるよりかはもう聞いた方がいいと思い、俺は仕方なくさっきの話を聞くことにした。 「なぁ」 「あっ、な、なんだ?旭川」  横の邪魔者は体がびくっと反応し、すごい動揺しながら返してくる。ちょっと話しかけられただけでこんなに動揺するか普通? さっきの強引さはどこへ行ったのやら。 「さっき聞こうとしたのは何のことだ?」 「あ、いや、そのー、もういいよあれは」  ……こいつ、俺に質問するために残って強引に俺に付きまとっているくせに質問やっぱりしないとかなんなの。 「いや、やっぱり聞いてもいいか?」  俺がイラついたのが分かったのか、やっぱり聞く気になったらしい。やだー俺そんな怖い顔してたー? 「あのー、なんでお前よりも俺の方が説教時間長かったんだ?」  ……え、なにそんなこと聞くためだけにわざわざ残って俺についてきたのか? 「はぁ。お前の方が先に説教され始めたからだろ?」 「いや説教される順番で変わるか?」  こいつ、俺の作戦に気づいていなかったのか。 「今日は入学式があったからな。先生も疲れてるだろうし後から怒るやつにはめんどくさがってすぐに終わるだろうと予想したんだよ」  あのHR後、初日から長い間説教食らいたくなかった俺はHRが終わった瞬間腹痛(けびょう)を先生に訴えてトイレに逃げ、1時間後くらい先にこいつが説教されていたおかげで俺への説教は30分くらいで済んだのだ。 「うわっ、お前俺を犠牲にしたとか酷いな」 「さっき俺がクラス全員の前で説教されてるのをニヤニヤしながら見てたのはどこの誰だったっけな」 「さ、さぁ誰だろうねぇ?あっ旭川、どっか寄らないか?」  ええ……めんどくせぇよ。早く帰りたいし。 「お前だけ居酒屋に寄って酒飲んで警察に捕まってこい」 「ねぇ俺に対する扱い酷くない?」 「そうだなー」 「旭川酷ーい」  うわっ、何今の言い方。何今のあざといキャラみたいなの。気持ち悪いしスルーしよう。早く帰りたいし。 「ちょっと無視すんなよ旭川~」  ……はぁ。めんどくせぇ。
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