第1章4節 初日の帰り道

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 18分ほど待つとやっと電車が来た。しかしまだこの時間に来る電車はすべて各駅停車であり、途中快速電車の待ち合わせまである。  最寄り駅が快速停車駅の俺としては快速に乗り換えたいところだ。早く帰りたいし。 「あ、そういや旭川の最寄り駅ってどこだ?」  横のクソ野郎はさっきと変わらず普通に聞いてきた。  ……それさっきも聞いたよね。めんどくさいからさっきと同じ返しをしよう。 「NA-19」 「ああ、下大岡か」  なんでこいつ分かったの。もしかして最寄り駅同じとかじゃないよね? 「俺買い物するときは大体に行くからな。あれだろ?駅名の横に書いてあるやつ」  それもしかしたら休日に会う可能性あるってこと……?こいつ嬉しそうな顔してるけど俺は休日にこいつに会うとか絶対に嫌だ。  もしも奴の最寄り駅が上大岡よりも先の場合、俺は電車の中ではずっとこいつといさせられる羽目になるから一応聞くことにした。 「お前の最寄り駅はどこなんだ?」 「あー確かNAの……」 「いや普通に駅名で答えろ」 「金沢台」  よかったー。下大岡よりも手前だー。 「なら俺途中で快速に乗り換えるから」  金沢台は各駅停車の電車しか止まらない。しかも金沢台よりも手前の駅で快速電車に乗り換えられる。やったー割とすぐに解放されるぞー! 「えー旭川快速乗り換えしちゃうの〜。一緒に各駅停車で行こうよ~」 「いやだ。断る」 「旭川酷~い」  さっきから何なんだこのキモい奴は。車内でキモい声出すな。ほら、周りの目線が冷たいぞ。
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