第1章5節 2日目はしっかりします。

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 金沢台駅で降りてから待つこと約10分。集合時間を5分すぎているが奴はまだ来ない。  ……自分で誘っておいて遅刻とかなんだよあいつ。  このままホームで待ち続けると遅刻するかもしれないし次の電車で先に行くとなんだか降りたのが無意味になりそうで嫌だな。  ホームに設置されている時刻表を見るとまだ学校に間に合う電車があったのでとりあえず改札まで行ってみると、券売機のところに慌てて何かをしている奴の姿を見つけた。 「あっ旭川!助けてくれ定期券の買い方が分からないんだ……」 「お前なんで昨日のうちに買わなかったんだよ」  奴は物凄く慌てているようで定期を買うのにはまだまだ時間がかかりそうだった。もしも定期を買うのを手伝ったり待っていたりしたら最悪の場合こいつと一緒に遅刻してしまう。  こんなの置いていくか。遅刻とか絶対したくないし。 「じゃ、俺先に学校行くから。頑張って定期買うんだな」  そう言って俺は先に学校に行こうとすると奴はすごく悲しそうで目をウルウルさせてこっちを見つめていた。  何その顔?昨日からちょくちょくあざとい女子みたい声出したりとキモいぞ。 「頼む旭川買い方教えてくれ……」  ここまで言われるとこいつを置いて先に行くのはなんだか気が引ける。わざわざここで降りたの無意味になるし。 「……はぁ、分かった。買うの手伝う」  俺はあきらめて改札を出ると、奴はぱぁっと明るい表情になりやがった。  本当そういうのキモいからやめろ。  仕方なく定期券の買い方を教え、やっと買えたころには集合時間を20分も過ぎた後であった。あれ、これ早く学校に行かないと遅刻する時間じゃね? 「あーもう8時10分じゃん早く学校に行かないと遅刻するぞ旭川!」  お前ふざけんなよ?誰のせいでこうなったのかわかってるのかこいつ?
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