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「まもなく夏島、夏島です」
夏島駅のアナウンスが流れるころにはもうSHRが始まる5分前になってしまっていた。徒歩15分の距離って全力で走れば5分で行けるかな?いいから早く駅に到着してくれ……。
「なぁ旭川。SHRまであと5分しかないが、全力で走れば間に合うかもしれないぞ?」
……このクソ野郎、遅れの原因を作ったくせに楽しそうな顔してやがるのクッソ腹立つ。
「うるせぇ車道走ってトレーラーにでも轢かれろ」
「旭川くん今日も口が悪いですねぇ」
言い返そうかと思ったがドアが開いたので俺は奴を無視して全力で走ることにした。後ろから待ってくれよという声が聞こえたが遅刻は絶対にしたくなかったので無視した。
数分後、
「旭川、なかなか走るの早いじゃないか」
置いてきたはずのクソ野郎は平気な顔して全力で走る俺に追いついてきやがった。
こいつ、思ってたよりも走るの早くね……?いやいやそんなことを考えている場合ではない。
「ふっ、俺が走るの意外と早いことが意外だったか?」
こいつすげぇ自慢げに言ってくるけどなんか息切れ始めてないか?いやいや無視して早く走らなければ。
「なぁ旭川。もう遅刻は確定なんだからさ、全力疾走勝負はさ、引き分けにしてさ、歩いて行こうじゃないか」
こいつ自分の息が切れ始めたから俺も一緒に遅刻させるつもりだな?無視して先に行くことにしよう。
「なぁ旭川、ちょっと待って。旭川お願いだから置いてかないでくれ~」
あーもううるさいなぁほんと。そんなこと言ってるせいで余計息辛そうじゃねぇかよ。
……SHRまであと2分。まだ商店街だしもう間に合わないだろう。
わざと遅れる時間を増やしたくないが横や後ろからずっとこのキモい声を受け続けて周りから白い目線を受けたくはない。
俺は仕方なくこいつの要求をのむことにした。
「わかった。少し走る速度遅くするから黙って走れ」
高校生活2日目から遅刻確定だな。
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