第1章7節 3度目の正直

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「おはよう旭川くん、今日は遅刻せずに登校できたんですね」  3日目の朝、正門をくぐったとき仁王立ちしている担任が話しかけてきた。  朝から担任にこんなこと言われるとは思わなかった。俺そんな問題児だと思われてるの。まぁここ2日間の行動見てたら問題児だと思われても仕方ないとは思いますけど。 「おはようございます先生、今日はクソ野郎に捕まらなかったおかげで予定通りの時間に登校できました」  とりあえず笑顔で答えておく。昨日遅刻したのあいつが原因だしまちがった事は言ってないよな……? 「そのクソ野郎はもう来てますよ」  先生は笑顔でそう言ってからどっかに行ってしまった。  え、なにあいつもう来てるのっていうか先生朝からほんと何してんの。  教室に向かうと俺を見た瞬間にやけだす不審者がいた。そんな不審者はもちろん奴しかありえないんだが。 「おはよう旭川、俺の勝ちだな」 「は?」 「ほら、一昨日先に椅子に座った方がなんか奢るって約束したじゃん?」  朝から何を言い出すかと思ったらそんなことかよ。  そういえばそんなこと言ってたね。今まですっかり忘れてたよ。 「じゃあ約束通り今日学校終わったらなんか奢ってもらうぞ」 「いや、あれは明日って言ってたんだから今日じゃなくて昨日だろ」  こんな奴に奢るとか嫌だと思っていたが、それ以上に3日連続こいつと一緒に帰るとかめんどくさすぎる。ていうかこいつの中で俺と一緒に帰ることはもう前提条件なの?俺は嫌なんですけど。 「いや昨日遅刻したからその賭けは今日に持ち越しってことになったじゃん?」 「持ち越しにした覚えはないし大体その賭けやるなんて言ってないんだが」 「うーん走っている間にそんなこと言ったかもなんて考えるかなって期待してたんだけどダメだったか」  こいつ本当賭け事しか頭にないんじゃないの。めんどくさ。
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