第1章8節 3日目で席替えって早くないですか?

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「今日のLHRですが席替えをしたいと思います」  1時間目のLHRの時間、後ろからちょっかいをかけてくる奴を無視して自己紹介なんて言おうかなーなんて考えていたが自己紹介の前に席替えをするとは想定外だった。  奴から離れることができると思えばこれから授業後すぐに捕まることもなくなるだろうしすごくありがたい。 「なぁ旭川、一緒に目が悪いからって言って前の席にしてもらおうよ」  せっかく席替えしてこいつから離れることができるかもしれないのに一緒に前に行くとか嫌すぎる。 「残念だが俺は眼鏡をしていれば視力1.0はあるから前に行く必要はない」  断った瞬間前から先生がすごい笑顔で提案をしてきた。 「あら、綾瀬くんと旭川くん視力低いんですか?ならあなたたちは前の方の席に座ることも可能ですよ」 「いや俺は視力1.0あるので前に行くのはこいつだけでいいです」  ……春休みの間に眼鏡作り直しておいてよかった。こいつは前に行って俺は後ろの方に行きたい。 「そんな無理することはないですよ。今と同じ席でいいですか?先生も近い席だと安心しますから」 「「いや大丈夫です」」  先生も安心するって近くで監視する気かよ怖いから勘弁してくれよ。 「では箱を回すので中のくじを1枚取って次の人に回してください」  もしもまた前後とかとなりの席に奴が来たら最悪だな。頼むから離れてくれと祈りながらくじを引くと、紙には1と書かれていた。  ……今と席変わらないのかよ。奴が離れるなら机を移動する手間が省けるし全く問題ないからいいんだけど奴が引いたくじは何番なのだろうか。 「お、俺も今と席変わらないな」  ……は?今なんて言いました? 「旭川は何番?」 「……1番」 「旭川も席変わらないのか!俺も旭川も席変わらないとかすごい確率だよな~。いっそ1年間ずっと2人でここの席に座るか?」  おいおい嘘だろまたこいつの前とか勘弁してくれよ。 「旭川くんと綾瀬君は席変わらないんですか。机を移動する手間が省けてよかったですね」  うわぁ先生凄い皮肉を込めて言いやがった。その笑顔凄い腹立つ。 「あら、くじをかき混ぜておくのを忘れていました。でも問題はないですしこのまま続けましょうか」  …わざとだろ!やりやがったな! 「よろしくな~旭川」  はぁ……次の席替えはいつだろ。
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