第1章9節 部活どこに入ろうかな

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 ーーー疲れた。  頭の中はその言葉しか出てこなかった。まさか本当に2時間位で運動部全てを回らさせられるとは。  しかも教室出て5分もしないうちに、「やっぱり見学だけとかなんかつまんないだろ?」とか考えコロッと変えて体験を俺も全部やらせるとかふざけんなよ……。絶対に許さない。 「いやーどの部活も楽しそうだったな」  ……そしてこいつは何故俺よりも動いてたのにこんなに元気なのだろうか。駅から走った時は俺の方が体力あったのに。 「それはだな旭川、楽しい事ならあまり疲れを感じないからだよ」 「勝手に人が考えてる事を当てて答えるな」  いつの間にかこいつ俺の考えが分かるようになってるとか気持ち悪いな。 「今日はとりあえず帰るか?」 「そうだな。疲れたし今日は早く帰りたい」  珍しく意見が一致した俺たちはこのまま帰る事にした。  だが帰ろうとしてから数分後、 「なぁ旭川、ここがどこか分かるか?」 「……さぁ?そこ右に曲がれば良いんじゃないか?」 「いや右曲がったらさっきのとこ出るから駄目じゃないか?」 「いやそんな事ないだろ」 「……」 「……」  周りには使用用途が分からない教室だらけ。踊り場にショッピングモールにありそうな案内図があればいいんだけど残念ながらここはアウ○レットでもらら〇ーとないので案内図などはない。事務室の横に案内図はあるけど写真を撮っていないし事務室の場所もわからない。つまり俺らは今どこにいるかもどこに昇降口があるかもわからない。  ……こんな奴と迷子になったとか絶対認めたくないんだけど。 「よし、じゃあ二人でじゃんけんして俺が勝ったら左に曲がり、旭川が勝てば右に曲がる。あいこならまっすぐかもう1回じゃんけんをする。この方法で行かないか?」 「わかった。とりあえずやってみよう」  だが数分後、 「あれここさっきの場所じゃね?」 「窓の外にあんな木なかったし違う場所だろ」 「いや木なんていっぱいあるからわかんなくね」 「……もう駄目だな」 「……だな」  ここまで来たら俺はこいつと二人で迷子になったことを認めざるを得ないか。最悪。
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