第1章10節 初めての生徒会

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 帰りのSHR、放課後奴と部活動見学をせずに帰るための言い訳を考えていると、横から楢原さんが話しかけてきた。 「ねぇたけちゃんと綾瀬くん。今日の部活動見学どこに行くか決めた?」 「いや俺は今日は疲れたからこのまま帰るつもりだよ」  まさか楢原さんから聞かれるとは想定外だけどとりあえずうまく答えられた。今日は早く帰りたい。 「えっ旭川帰っちゃうの?今日は文化部全部回ろうよー」 「今日は疲れたから帰らせてくれよ。一応来週まで部活動見学期間だろ」  あーまだ言い訳考えてる途中だったのにこいつがこうなるとめんどくさいんだよなぁ。部活動見学のこと言いだすタイミング悪いよ楢原さん。 「じゃあ綾瀬くん今日は私と一緒に生徒会行こうか」 「「えっ?」」  まさか楢原さん朝は怒ってないフリをして奴を油断させて帰りのSHR前に捕まえて生徒会に連行して謝らせる気だったのか…!  そういえば朝「私に謝る必要ないよ」って言ってたけどあれよく考えたら私じゃなくて先輩に謝れよって意味だったのか。 「え、いや俺は旭川と一緒に回るから……」 「じゃあたけちゃんが行くって言ったら綾瀬くんも来るんだよね?」  ……え、待って俺巻き込まれてない?俺昨日何もやらかしてないし生徒会なんて行くつもりも入るつもりも全くないんだけど。 「ねぇたけちゃん。生徒会行ってみない?行ってみたら興味出てくるかもよ?」  文面にすると普通に誘っているようだけど顔を見ると笑顔の中からおいお前私のいうこと聞けよという圧力を感じる。怖い。逆らったら人生終わりそう。 「旭川、早くいい感じの言い訳を考えてくれ早く!」 「綾瀬くん?」 「すいませんでした」  後ろから小声で頼みかけて来る奴を一言で黙らせる楢原さんめっちゃ怖い。いや本当逆らったらどうなるか分からないその笑顔怖い。 「まぁ優しくしてもらった恩を仇で返すような事はできないからな」 「旭川……!」  奴が喜んだ瞬間俺は奴の手首を掴んだ。その瞬間奴の表情は凍り付いた。 「……旭川?」 「悪いな、恨まないでくれ。楢原さん、行こうか」 「旭川ぁぁぁ!俺に対する恩を忘れたのかよ⁉︎」 「お前に恩?そんなのないな。今言った恩は昨日楢原さんに昇降口まで連れて行ってもらった時のことだが」  そう言って俺は楢原さんの言うとおりに生徒会に見学しに行くことにした。楢原さん敵に回すとか絶対嫌だしね。
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