第1章10節 初めての生徒会

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 部活動体験として生徒会に行ったものの特に体験とかは毎年していないらしく、普通に話したりトランプゲームをするだけだった。  帰る時に先輩に笑顔でまた来てね!と言われたがもうあの部屋にすら行く事はないだろう。  俺は奴と楢原さんと一緒に帰りながらそんな事を考えていた。しかし3人で帰ることになったのはいいが誰も話そうとしないので3人の中には気まづい雰囲気が漂っていた。しかも3人とも乗る電車の方向も同じなので電車内でもずっと気まづい雰囲気は流れる。 「まもなく、金沢台、金沢台です」  そうアナウンスがあり電車がゆっくりと止まると、奴がやっとこの気まづい雰囲気を壊してくれた。 「じゃ、俺ここだから。楢原さんも降りる?」 「私、ちょっと下大岡に用があるから今日は下大岡まで行くよ」 「ああ分かった。じゃあな旭川。それに楢原さんも」  電車のドアが閉まり金沢台駅を発車した後、流石に2人きりでずっと黙っているわけにもいかなかったので俺はとりあえず話しかけて見ることにした。 「楢原さん、下大岡に行くならさっき快速に乗り換えた方が良かったんじゃない?」 「いや、たけちゃんも綾瀬くんも黙ってる状態で私だけ抜けるのなんか気が引けちゃってさ」  自己紹介の時のようにまた気を遣わせてしまったのか。とりあえず謝ると楢原さんは別に良いよと返してきたが俺としては罪悪感が残ってしまった。  この罪悪感どうしようかと考えていると楢原さんが急に覚悟を決めたような顔をしながら話しかけてきた。 「ねーねーたけちゃん。このあと時間ある?話したい事があるんだけど」  ……えっ?
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