ない小説の一節

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ない小説の一節

①インクがにじんでいく。紐でぐるぐる巻きになった五年間の集大成はいま、気休めの網を被り、ブロックの囲いの中で私とともに雨粒を浴びている。広がっていくオレンジ色は、隣の赤色と混ざり合い、溶けていく。 ――ほら、負けちゃうよ。  私はこのとき初めて、オレンジ色が馴染みやすいことを知った。 テーマ:努力報われない系
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